「多摩市脱炭素ワークショップ第1回」を開催しました

Text by 高森郁哉

一般社団法人多摩循環型エネルギー協会(多摩エネ協)は2022年11月18日、「多摩市脱炭素ワークショップ第1回 都市部の再エネ普及に寄与するソーラー新技術と、協業の可能性 ~脱炭素化を推進する地域連携のビジョンを語ろう~」をパルテノン多摩の会議室にて開催しました。このワークショップは、多摩市市制施行50周年記念市民提案事業に多摩エネ協が提案し採択された「たま気候みらいプロジェクト」の一環として企画した事業で、市内の事業者や住民自治会関係者、多摩市職員の方々にお集まりいただきました。

冒頭、多摩市の阿部裕行市長から収録済みのビデオで、当プロジェクトについて、「市民・事業者・行政が脱炭素社会の実現に向けて推進体制を検討するとの提案をいただきました。市民の皆様が気候危機を自分事として考え、行動を起こしていただいていることに感謝申し上げます」とのメッセージを頂戴しました。

前半の趣旨説明として、多摩エネ協の高森事務局長よりたま気候みらいプロジェクトの概要※についてお伝えし、また多摩市前副市長で当プロジェクトのアドバイザーでもある浦野卓男氏から、この日のイベントを推進体制に向けたキックオフイベントにしたいとの意向を語っていただきました。また、多摩市環境部環境政策課 地球温暖化対策課長の市ノ瀬聡氏から、多摩市の地球温暖化対策の現状と、エネルギービジョン策定など今後の取り組みの見通しについて説明していただきました。

基調講演では、MIRAI-LABO株式会社の常務取締役兼営業戦略本部長の平塚雷太氏より、「MIRAI-LABOの自律型エネルギーインフラ」と題して、同社が手がける太陽光路面発電「Solar Mobiway」や自律型ソーラー街路灯「THE REBORN LIGHT」などの先進的な技術と事業について語っていただきました。いずれも導入事例を着実に増やしているとのことで、特に太陽光路面発電などは都市部の道路や駐車場、企業施設内の敷地などでも大規模に導入可能なため、今後コストが下がり普及にはずみがつくことを大いに期待したいお話でした。

後半では参加者が3つのグループに分かれ、「1. MIRAI-LABOの太陽光路面発電のような地球温暖化対策に貢献する先進技術を、協業や連携を通じてどのように多摩市や多摩ニュータウン地域に導入・展開していけるか」「2. 民間企業と行政が効果的に連携して脱炭素社会を地域一丸となって実現するには、どのような推進体制(地域協議会、共同事業体など)が必要で、どのような機能が求められるか」という2つのテーマについて討論しました。

まず第1の「先進技術を連携などを通じて地域に導入するにはどうすればいいか」という課題については、「恩恵の還元の仕組みがシンプルでわかりやすいものがいい」「個人の財布に直接響くやり方の方が浸透しやすい」「シェアサイクルやパーソナルモビリティなどの充電に使えることで、受益が見える化できるといい」などの意見が挙がりました。

第2の「どのような推進体制が必要で、どのような機能が求められるか」については、「行政が主体になると、いつまでに何をどこまで達成するかというノルマ論になりやすい」「底辺を広げていくには、地域でまちづくりで活躍している若い世代のキーパーソンみたいな人材が“柔らか頭”で企業や行政を繋いでいくと効果的」「地域課題の解決策を地域共創で進めていく中で、脱炭素とか省エネとかいう切り口で議論をしながら、新たなプレーヤーを加えていく」「市民参加の視点では、新たに参画してくれる人の掘り起こし、特に若い世代の参加が望ましい」等々。やはり取り組みを継続させていくためには、次世代の担い手づくりも含め、若い世代への働きかけ、取り込みが重要になってくるという意見が多く出されました。

具体的な推進体制づくりは来年度以降の課題になりますが、まずは“キックオフ”としての位置づけを参加者一同で認識し、また次の企画事業である若い世代向けのワークショップについてのヒントも得られて、実り多いイベントになったように思います。

※たま気候みらいプロジェクトについて

 2022年4月に多摩市が募集した「多摩市市制施行50周年記念市民提案事業」のうち、「地域で進める地球温暖化対策」のテーマで多摩循環型エネルギー協会が応募し、7月に採択された事業です。実施期間は、2022年9月~2023年3月となっています。

 多摩市は2020年6月の「多摩市気候非常事態宣言」の中で、「『気候危機』が迫っている事実を市民全員と共有し、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目指します」と表明しました。この大きな目標を達成するために、私たちは、①行政だけでなく市民や市内の事業者・団体なども一丸となって、継続的に取り組む②次世代の活動の担い手を育てる、という2つのことが大切だと考えています。

 そこで、「たま気候みらいプロジェクト」では、①行政・事業者・市民などさまざまな立場の人と組織が、“2050年のCO2排出実質ゼロ”という目標に向かって協力し行動するためには、どのような連携や仕組みが有効なのかを、先行地域と事例から学んで検討する②次世代の活動の担い手を育てることを念頭に置き、多摩市若者会議と連携して、幅広い層に向けて地球温暖化とその対策についての啓発を行う、という2つの活動を行っていきます。

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